Summary

  • WERT INTELLIGENCEの「keywert」は、世界3億件以上の特許データを対象に、検索・分類・要約を行うAIサービス
  • L&Fは、韓国製AI半導体「ATOM™」とAIモデル「PlutoLM」を基盤とする「keywert」を活用し、IPデータキュレーション(AI of Science)分野における韓国発のAIフルスタックサービスを構築
  • 従来GPU比で電力効率2.8倍、推論速度16%向上を達成し、運用効率の大幅な改善を実現

Challenge

L&Fは、二次電池向け先端材料分野における研究開発のさらなる高度化に向けて、世界中の特許データを効率的に検索・分類・要約・分析できるIPサービスの導入を検討してきました。正極材に関する技術文書や研究成果は、企業の競争力の源泉となる機密資産であるため、外部クラウドへデータを持ち出すことなく、社内で安全に処理できるオンプレミス環境が必須条件でした。

特許データを活用したIPサービスは、検索・分類・要約・分析といったデータ集約型処理が中核となる分野であり、その処理性能と効率性がR&Dの生産性に直結します。WERT INTELLIGENCEが提供する「keywert」は、技術情報を含む世界3億件以上の特許データを対象とするAIサービスです。近年では、企業の研究開発成果をはじめとする機密データを安全に活用するため、オンプレミス環境での導入ニーズが急速に高まっていました。こうした背景のもと、L&Fは「keywert」の高度な分析機能を社内の閉域ネットワーク環境で安定運用するとともに、高い費用対効果を実現できるインフラを求めていました。

Solution

WERT INTELLIGENCEは、NPU開発企業のリベリオンとMOUを締結し、韓国製AI半導体「ATOM™」とAIモデル「PlutoLM」を活用したNPUベースのフルスタックソリューションを構築しました。このソリューションは、ATOM™上でPlutoLMを実行し、世界3億件以上の特許情報を対象に推論処理を行えるよう設計されています。

主な機能は、AI分類CopilotとAI要約Copilotの二つです。分類Copilotでは、ユーザーがわずか10件の文書にラベル付けするだけで、残り数百~数千件の特許を数秒以内に自動分類できます。また、チャットボット形式の分類ガイドを通じて、ユーザーの意図や分類基準を的確に反映できるほか、推論対象範囲の指定も可能です。要約Copilotは、特許文書から技術の目的、解決手段、新規性などの重要情報を認識・抽出し、新機能や新素材の発見を支援するツールとして設計されています。

L&Fには、AIモデル・データ・インフラを統合したフルスタックパッケージが、オンプレミス型サーバーとして社内に導入されました。二次電池用正極材に関する約10万件のシード特許データから選定した約1,500件の学習データを基に、分類Copilotと要約Copilotが連携し、特許文書内の段落に記載された組成成分を分類・要約する仕組みを構築しました。

Result

L&Fは、閉域ネットワークのオンプレミス環境において、新規特許の自動アラート機能を含め安全に運用できる体制を整備しました。これにより、二次電池用正極材に関する特許分析業務において、AI推論結果を直接活用できるようになりました。また、弁理士をはじめとする専門家による品質評価においても、10点満点中平均7点以上の満足度を獲得し、実務レベルでの実用性を実証しました。

性能面でも顕著な成果が確認されました。リベリオンのNPU導入により、従来GPUと比較して電力効率が約2.8倍向上し、導入・運用コストの削減が可能となりました。さらに、推論速度も従来システム比で16%以上向上しています。本事例は、高いセキュリティが求められるIPデータキュレーション(AI of Science)分野において、インフラからサービスまで韓国独自技術のみで高性能なAI推論環境を構築できることを示したものです。

“今回の協業は、特許AIを産業現場でより迅速かつ安定的に、そして効率的に運用するための基盤を築いたという点で、大きな意義があります。今後はリベリオンのNPUインフラとの連携をさらに強化し、特許AIを企業の中核的な意思決定を支えるインフラへと発展させるとともに、グローバル市場においても競争力を発揮してまいります。”
– WERT INTELLIGENCE 代表取締役 ユン・ジョンホ –

Appendix:NPU活用ガイド

クイックスタート
:事前学習済みモデルの準備 → RBLNコンパイラによるモデルのコンパイル → コンパイル済みモデルのロードおよび推論